世界中のサッカーリーグに必ずと言って良いほど存在するダービーマッチ。同じホームタウンを本拠地とするチーム同士の戦いは、その激しいライバル関係から毎試合ヒートアップします。
「サッカーの母国」イングランドのプレミアリーグも当然例外ではありません。特に多くのプロサッカークラブがホームタウンとするロンドンには、複数のダービーマッチが存在します。
この記事ではロンドンの中でも特に熾烈な関係にある「ノースロンドンダービー」にスポットライトを当て、その歴史や対戦成績を紐解いていきます。想像を絶するライバル関係を知ればプレミアリーグ観戦が何倍にも楽しくなりますので、サッカーファンの方は必見です。
ロンドンのダービーマッチは主に3種類
イギリスの首都ロンドンには、大小含め10以上のプロサッカークラブが存在し、そのうち6つのクラブがプレミアリーグに在籍しています(2021年現在)。
〈ロンドンをホームタウンとするプレミアリーグ所属チーム〉
- アーセナル(Arsenal)
- チェルシー(Chelsea)
- トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)
- フラム(Fulham)
- クリスタルパレス(Crystal Palace)
- ウェストハム・ユナイテッド(West Ham United)
6チームの直接対決は言わばどれもが「ロンドンダービー」に該当するのですが、ここでは特に熾烈なライバル関係にある3つのダービーマッチをご紹介しましょう。
ノースロンドンダービー(アーセナルvsトッテナム)
ロンドンダービーの中でも特にライバル関係が激しいことで知られるのが「ノースロンドンダービー」。これはアーセナルとトッテナム・ホットスパーの間で行われるダービーマッチのことで、言葉の通り両チームはロンドン北部にホームグラウンドを構えています。
両チームの因縁には100年以上前にも遡る歴史があり、直接対決はイギリス国内だけでなく、世界中から注目を集める一戦となります。
ビッグロンドンダービー(アーセナルvsチェルシー)
もう一つロンドンダービーとして世界的に注目を集めるのが、アーセナルとチェルシーの名門クラブ同士で行われる「ビッグロンドンダービー」。2チームともプレミアリーグ制覇の経験があることはもちろん、ヨーロッパを代表する強豪クラブとして世界的に人気を集めます。
しかし、これは有名なビッグクラブ同士の対決ということから名づけられたものであり、そのライバル関係はノースロンドンダービーに比べると決して熱くはありません。実際、アーセナルからするとトッテナム・ホットスパーが、チェルシーからするとリヴァプールが一番のライバルとして敵対視されています。
ウエストロンドンダービー(チェルシーvsフラム)
最後にご紹介する「ウエストロンドンダービー」は、文字通り西ロンドンに本拠地を構える4チーム(チェルシーFC、フラムFC、クイーンズ・パーク・レンジャーズFC、ブレントフォードFC)の間で行われるダービーマッチ。
しかし、4チームのうち2021年現在プレミアリーグに所属しているのはチェルシーとフラムの2チームだけであり、フラムはプレミアリーグと下部リーグを行ったり来たりしているチームであるため、この2チームもそれほど互いにライバル視し合っているということはありません。
他にも「サウスロンドンダービー」など様々なダービーマッチが存在しますが、熾烈なライバル関係でしのぎを削っているのは「ノースロンドンダービー」だけと限定することができるでしょう。
ノースロンドンダービー(アーセナルvsトッテナム) 因縁の歴史
互いにノースロンドンをホームタウンとするアーセナルとトッテナムは、100年以上にわたりしのぎを削ってきました。ここからは両チームの因縁の歴史を紐解いていきましょう。
100年以上の歴史があるノースロンドンダービー
両者のライバル関係が生まれたのは1913年のこと。もともとサウスロンドンに本拠を構えていたアーセナルが、ノースロンドンのハイベリー地区にアーセナル・スタジアムを建設したことに端を発します。
このアーセナル・スタジアムが建設されたのは、トッテナムの本拠地であるホワイト・ハート・レーンからたった6kmの距離にあるハイベリー地区。世界的に見ても「近すぎる」両チームの関係は、次第に「ノースロンドンダービー」として注目を集めるようになりました。
両チームの間に大きな因縁が生まれたのは1919年シーズン。この年はリーグ拡張のため降格がないはずのシーズンでしたが、1部リーグ最下位のトッテナムと2部リーグ5位のアーセナルの間で不可解な入れ替えが行われました。
あまりにも突然の入れ替えに、当然トッテナム側は激怒。しかしこの入れ替えが中止されることはなく、両チームのライバル関係は決定的なものとなりました。トッテナムサポーターの間では、アーセナル陣営による裏金説などが定説となっていますが、真相は未だに明かされていません。
また、アーセナルが「無敗優勝」を遂げた2003-2004シーズンは、奇しくもトッテナムのホームグラウンドで行われたノースロンドンダービーでアーセナルの優勝が決定。最大のライバルがホームグラウンドで優勝の歓喜に沸くという、トッテナムにとっては何とも屈辱的な瞬間となりました。
過去の通算成績はアーセナルの勝ち越し
気になる両チーム通算成績では、78勝51分け60敗とアーセナルが大きく勝ち越しています。アーセナルが毎年のように優勝争いに加わっていた一方、トッテナムはリーグ中盤に沈むシーズンも多かったため、アーセナルが勝ち越しているのはイメージ通りと感じる方も多いことでしょう。
しかし直近に目を向けると、アーセナルがトッテナムに大きく負け越しているのも事実です。2016-2017シーズン以降はシーズン成績もトッテナムがアーセナルを上回っているため、このままいくと勝ち星の差は次第に埋まっていくかもしれません。
| アーセナル | トッテナム | |
|---|---|---|
| 設立年 | 1886年 | 1882年 |
| チームカラー | 赤&白 | 白&青 |
| ホームスタジアム | エミレーツ・スタジアム | トッテナム・ホットスパースタジアム |
| スタジアム収容人数 | 約60,000人 | 約62,000人 |
| 監督 | ミケル・アルテタ | ジョゼ・モウリーニョ |
| プレミアリーグ優勝回数 | 13回 | 2回 |
| FAカップ優勝回数 | 14回 | 8回 |
「禁断」の移籍でライバル関係は激化
激しいライバル関係ゆえに、両チーム間の移籍は「禁断」と称されることも少なくありません。実際、両チーム間で移籍が行われたのは長い歴史の中で20人程度と、他チームに比べて非常に少ないと言えるでしょう。
そんな中、「禁断の移籍」として大きな話題を呼んだのが、2001年にトッテナムからアーセナルに移籍したソル・キャンベルです。キャンベルはトッテナムでキャプテンを務めていた中心選手であるだけでなく、アーセナルからトッテナムに移籍金が一切支払われなかったことにトッテナムサポーターは激怒。かつてのヒーローはあっという間に「ユダ」というあだ名を付けられ、激しいブーイングの的となりました。
その後もアーセナルからトッテナムに移籍したアデバヨール選手がアーセナルサポーターから大ブーイングを浴びるなど、両チーム間の移籍は完全にタブーとされています。
ノースロンドンダービー3つの見所 | 近年は実力が均衡
近年はトッテナムの勝利が目立つようになってきたノースロンドンダービーですが、その背景には様々な要因が考えられます。ここではノースロンドンダービーの際にぜひとも注目したい3つの見どころをご紹介しましょう。
ノースロンドンダービーの見所 1:ホームが圧倒的優位
目と鼻の先にある両チームのスタジアムですが、ノースロンドンダービーでは圧倒的にホームチームが優位な傾向にあります。特にここ10シーズンほどの直接対決では、アウェイチームが勝利を収めたのは数えるほどしかありません。
遠く離れたアウェイ戦ならまだしも、たった6kmしか離れていないスタジアムでありながらアウェイ戦に苦労するというのは、何とも興味深いデータと言えるでしょう。
ノースロンドンダービーの見所 2:アーセナルはモウリーニョ監督が苦手
近年苦戦を強いられているアーセナルにとって、「最大の敵」と言えるのは、トッテナムの監督を務めるモウリーニョ監督かもしれません。過去にバルセロナ、インテルミラノ、レアルマドリードといった超強豪チームで指揮を執ってきた名将は、事あるごとにアーセナルの前に大きな壁として立ちはだかってきました。
モウリーニョ監督がチェルシー、マンチェスターユナイテッド、トッテナムといったプレミアリーグで指揮を執るようになってからは、アーセナルとの直接対決で敗れたのは数えるほどしかありません。まさに「アーセナルキラー」とも言えるモウリーニョ監督は、トッテナムサポーターにとっては何とも頼りがいのある指揮官でしょう。
ノースロンドンダービーの見所 3:トッテナムのハリー・ケイン&ソンフンミン
ここ数年のトッテナムの躍進を支えるのが、プレミアリーグのみならず「世界最強コンビ」の呼び声高いハリー・ケインとソンフンミン。2020-2021年シーズンには、2人の間でのアシスト&ゴールによって決まったゴール数が14に達し、25年以上も破られることのなかったプレミアリーグ最多記録を更新しました。
特にハリー・ケインはアーセナルとの直接対決に圧倒的な強さを見せ、プレミアリーグの直接対決だけでも11ゴールを記録。近年の負け越しから巻き返しを図りたいアーセナルにとって、今後も「世界最強のコンビ」は大きな脅威として立ちはだかることでしょう。
ノースロンドンダービーは世界屈指のライバルマッチ
世界的屈指の熱さを誇るダービーマッチとしては「インテルミラノvs ACミラン」や「マンチェスターユナイテッドvsマンチェスターシティ」などが挙げられますが、ノースロンドンダービーも決して引けを取りません。アーセナルとトッテナムはプレミアリーグの中でも指折りのライバル関係にあり、互いの敵対心や闘争心は今後も永遠に続いていくことでしょう。
ノースロンドンダービーは、まさに「勝てば天国、巻ければ地獄」の壮絶な一戦。他の試合より何倍にも意味を持つ戦いからは、これからも目が離せません!
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