ブックメーカー方式とパリミチュエル方式の違いを把握している人は世界的に見てもあまり多くないかもしれません。なぜなら国によって浸透しているギャンブルの種類や形は異なり、ブックメーカー方式とパリミチュエル方式を両立させている国は少ないからです。日本の場合は後者になるわけですが、近年はブックメーカーのオンライン化に伴い日本でもプレイヤー数が増加。そこで初めてブックメーカー方式に触れ、その違いを認識する人が多いです。この記事ではブックメーカー方式とパリミチュエル方式の違い、日本で採用されない理由、胴元のリスクを中心に詳しく解説していきます。
目次
ブックメーカー方式とパリミチュエル方式の違い
スポーツベットに分類されるサッカーや野球への賭け、競馬、競輪、競艇などは、どこの国に行ってもブックメーカー方式とパリミチュエル方式のいずれかに該当します。それでは、まず始めにブックメーカー方式とパリミチュエル方式の違いについて解説していきたいと思います。
ブックメーカー方式とは
- 賭けた時点でのオッズが適用
- ヨーロッパを中心に人気
- 胴元に大きなリスク
パリミチュエル方式とは
- 賭けた後もオッズが変動
- アメリカや日本で人気
- 胴元のリスクは小さい
ブックメーカー方式の最大の特徴は賭けた時点でのオッズが適用されることです。競馬は競輪などを楽しむ方は「賭けたときは魅力的なオッズだったのに終わってみればオッズが下がっていた」という経験をしたことがあると思いますが、これはパリミチュエル方式ならではの現象であり、ブックメーカー方式では起きません。ただ、オッズは変動し続けますので、1時間後にブックメーカーのオッズを確認してみるとオッズが上がっていたという可能性があります。ブックメーカー方式はその名の通り欧州で発展したブックメーカーで生まれた方式になるので、ヨーロッパで多く見かけます。一方でアメリカや日本ではブックメーカー方式を見かけることはほとんど無く、パリミチュエル方式でスポーツベットが発展してきました。もうひとつ、大きな違いとして胴元のリスクがありますが、これについては後ほど詳しく解説したいと思います。
ブックメーカー方式が日本で採用されない理由
ブックメーカー方式が日本で採用されずにパリミチュエル方式が主流となっているのはなぜか疑問に感じる方も多いと思います。その理由は明確でパリミチュエル方式は絶対に損をしないからです。私達が考えるギャンブルである競馬やtotoは決して国民に娯楽目的だけで提供されているわけではなく、目的があって設立されています。例えば日本中央競馬会(JRA)では設立目的として以下のように記載されています。
第1条 この法律は、競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、競馬法(昭和23年法律第158号)により競馬を行う団体として設立される日本中央競馬会の組織及び 運営について定めるものとする。
JRA-日本中央競馬会法-
続いて、スポーツくじに分類されるtotoの設立目的を確認してみましょう。
第1条 スポーツ振興投票は、スポーツの振興に寄与することを目的として行われるものです。
toto-スポーツくじ約款-
上記の通り、JRAは「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため」に、totoは「スポーツの振興に寄与」を目的に運営されています。そもそもギャンブルとして胴元とプレイヤーはフェアな関係ではなく、競馬の場合は25%程度、totoの場合は50%が控除された上で的中者に分配されているのです。ギャンブルとして認知されていますが、そもそもが振興目的ですのでプレイヤーはギャンブルを楽しむと同時に寄付をしています。ブックメーカー方式の場合は賭けた時点でのオッズで配当が決まり胴元が負けるリスクも発生するので、これが絶対に損をできない日本のギャンブルがブックメーカー方式を採用しない理由です。
なお、控除率が異なるのでプレイヤーに対しての還元率も異なってきます。競馬や競艇の場合は還元率は75%、totoは50%に対し、ブックメーカー方式が採用されているブックメーカーの還元率は95%以上と公表されています。
ブックメーカー方式は胴元に大きなリスク
ブックメーカー方式がヨーロッパで発展したのは、胴元の違いが大きな理由です。日本では中央競馬は農林水産省の外郭団体であり、スポーツくじは文部科学省が監督する独立行政法人日本スポーツ振興センターが胴元となります。そのため、振興目的の日本のギャンブルは絶対に胴元が負けないパリミチュエル方式が採用されていると説明しました。一方で、イギリスを中心としたヨーロッパではブックメーカー方式が主流となっています。パリミチュエル方式でなくブックメーカー方式を採用するということは、誰も賭けていない状態でもオッズが設定されるわけですから、胴元は大きなリスクを背負うことになります。それができるのもブックメーカーは民間企業が運営しているからです。それでは、ブックメーカー方式によって過去にブックメーカーが大損をした2つの事例を紹介していきたいと思います。
レスター・シティが倍率5001倍で優勝
日本代表の岡崎慎司選手が所属していたので記憶に残っている方も多いと思いますが、2015/16シーズンのプレミアリーグで歴史に残る高額払い戻しが発生しました。プレミアリーグの優勝チームを予想する賭けで、ブックメーカーがレスター優勝に設定したオッズは5001倍。それだけ高いオッズを設定しないと誰もレスターには賭けないほど優勝は不可能に近いとされていました。しかし、結果は岡崎選手の活躍もあってレスターが優勝。実際に賭けている人がいたので、大赤字を防ぐために残り数戦の段階でレスターに賭けているプレイヤーにキャッシュアウトを提案する事態に。ブックメーカー各社は数千万の払い戻しを余儀なくされました。
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ブックメーカー方式はこんなプレイヤーにお勧め
ブックメーカー方式は以下のようなプレイヤーにお勧めです。
- 胴元とフェアな関係で賭けを楽しみたい
- 試合観戦中もライブベットで賭けたい
- 試合数やオッズの種類を楽しみたい
ブックメーカー方式もパリミチュエル方式も伝統あるスポーツベットの形であり、普通に賭けを楽しむぶんにはプレイヤーにとって大きな違いはありません。日本の競馬やスポーツくじは振興目的と記載されていますが、ブックメーカーもスポンサーという形でクラブやリーグ、大会に多額を投資してスポーツ業界に還元していることを考えれば、社会的貢献という意味でも違いはないように思えます。ただ、近年は日本でもブックメーカーの知名度が高まる中でブックメーカー方式を好む人が増えているよう感じるのは、やはり胴元とプレイヤーの公平性が影響してそうです。日本の競馬やスポーツくじの場合、胴元との駆け引きは皆無。どんなに的中しても胴元が損をする可能性はなく、その駆け引きを楽しみたい、プレイヤーと胴元の公平性が好きという人はブックメーカー方式を選択するようです。
ブックメーカー方式では可能で、パリミチュエル方式に不可能なものの1つがライブベットです。サッカーや野球などで試合の状況に応じて変動するオッズに賭けることができ、ブックメーカーのプレイヤーからも高い支持を得ています。試合を観戦しながら賭けられるのでお勧めです。また、パリミチュエル方式と違って賭けに参加している人数が少なくても成立するので、幅広いプレイヤーが楽しめるようにスポーツの競技数、試合数、オッズの種類が多いのもブックメーカー方式を採用しているブックメーカーならではの特徴です。
ブックメーカー方式が初めての方向けのサイト3選
この記事ではブックメーカー方式とパリミチュエル方式の違い、日本で採用されない理由、胴元のリスクなどを中心に解説してきました。読んでいる方の中にはこれからブックメーカー方式を初めて試されるという方もいると思いますので、最後に初心者の方向けのブックメーカー3選を紹介します。なお、ブックメーカーは世界中にたくさんありますが、政府公認のライセンスで営業し、かつ運営会社が信頼できるところに登録しなければなりません。当サイトでは運営会社を厳しい審査基準で調査し、実際に担当者と話して信頼できると判断した安心・安全のブックメーカーのみを掲載しております。何かトラブルがあった際には、お気軽にお問い合わせください。
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