野球の世界ランキングはあまり報じられることもありませんが、WBSC(World Baseball Softball Confederation/世界野球ソフトボール連盟)が定期的にランキングを更新しています。野球大国として知られるアメリカや、日本が世界ランキングで何位に位置するのか、野球ファンにとって気になる情報だと思います。また、WBCやプレミア12など国際大会を楽しむ、予想するためにも野球の世界ランキングは大きな指標となります。国際大会の結果に基づいて算出されたこのランキングは正確性も高く、現在開催中のWBC2023の運命を占う材料として大いに役立つことでしょう。
そこでこの記事では、野球の世界ランキング最新版をご紹介したうえで、意外と知られていないランキングの決め方などについて詳しく解説します。ランキングを紐解けばWBCやオリンピックの展望が見えてきますので、野球ファンの方はぜひ参考にしてください。

野球世界ランキングWSBC2023最新版
早速、2022年12月18日に発表された野球の世界ランキング最新版2023をご紹介します。新型コロナウイルスの影響で国際大会が中止になるなど、近年はあまりランキングに大きな変動はありません。
順位 | 国 | ポイント | 順位 | 国 | ポイント |
1位 | 日本 | 4179 | 11位 | コロンビア | 1669 |
2位 | 中華台湾 | 3819 | 12位 | パナマ | 1529 |
3位 | アメリカ | 3449 | 13位 | プエルトリコ | 1419 |
4位 | 韓国 | 3428 | 14位 | カナダ | 1404 |
5位 | メキシコ | 3273 | 15位 | チェコ | 1309 |
6位 | ベネズエラ | 2723 | 16位 | イタリア | 1206 |
7位 | オランダ | 2468 | 17位 | ニカラグア | 1117 |
8位 | キューバ | 2246 | 18位 | ドイツ | 1071 |
9位 | ドミニカ共和国 | 1894 | 19位 | スペイン | 806 |
10位 | オーストラリア | 1889 | 20位 | イスラエル | 702 |
日本の侍ジャパンが1位をキープ
野球の世界ランキング最新版で侍ジャパンこと日本代表が1位となりました。2位のチャイニーズタイペイとの差は360ポイントとなっており、一時期はアメリカとの差が231ポイントだったことを考えると、王国アメリカとの差も大きく広がりましたね。
日本は2018年の12月に発表されたランキングから1位になっており、これで約4年にわたって1位をキープしていることになりました。2018年の9月に発表されたランキングでアメリカに首位の座を譲り2位となりましたが、それを除けば2014年の12月から首位の座をガッチリと守っていることになります。国際大会でも日本は結果を出しており、当然の結果と言えそうです。。
アジア勢と北中米が上位を独占
野球世界ランキングの上位に目を向けると、2位中華台湾、3位アメリカ、4位韓国、5位メキシコと、アジア勢と北中米諸国が上位を独占していることが分かります。中でも台湾の躍進には目を見張るものがあり、近年はメジャーリーグで活躍する選手も少なくありません。日本にとっても決して気の抜けない相手となりました。
野球強豪国として有名なキューバは8位にランクインしましたが、かつて世界一に君臨し続けた2010年代初頭と比較すると、年々ランクが下がっていることが分かります。また、第3回WBC優勝のドミニカ共和国は9位、同大会で日本を破り準優勝に輝いたプエルトリコは13位に終わっており、中米諸国は順位の変動が激しいのが特徴と言えるでしょう。
野球よりサッカーのイメージが強いヨーロッパでは、オランダが7位へと順位が上がり、チェコが15位、イタリアが16位にランクインしています。特にオランダは日本でもお馴染みのバレンティン選手など優れた選手が多くいる印象です。まだまだヨーロッパでの認知度は低いと言わざるを得ませんが、こうしたヨーロッパの野球強豪国からも目が離せません。
野球世界ランキングは81か国がランクイン
最新版のランキングでは81か国がランクインしています。ソロモン諸島やエクアドルなど新しい国も追加されたほか、香港、フィリピン、スリランカ、インド、インドネシア、タイ、イラン、ネパール、バングラデシュなどがランクインしています、なかなか野球と結びつかない国々ですが、日本がアジア予選でこうした国々と戦う未来も近いかもしれません。野球という競技が世界的に発展している証と言えそうです。
野球の世界ランキングの決め方
野球の世界ランキング算出方法について紹介します。各国のレベルを見極めるのに役立つ野球の世界ランキングですが、実は代表チームの成績だけでランキングが決まるわけではありません。
野球の世界ランキングはWBSCが決める
野球の世界ランキングは、「世界野球ソフトボール連名(WBSC)」と呼ばれる機関によって決定されます。かつては「国際野球連盟(IBAF)」という名前でしたが、2014年から現在の名称に変更されました。
算出の対象になるのはWBSCが公認している大会に留まり、例えばオリンピックの結果は世界ランキングに反映されることはありません。大会の規模や出場国のレベルによって、付与される評価値が増減するのも大きな特徴と言えます。
各世代の過去4年間の成績に基づくポイント制
野球の世界ランキングはポイント制が基本となりますが、ポイントの加算対象になるのは代表チームだけではありません。社会人、大学、U21からU12など、実に幅広い年代が対象になり、過去4年間の成績が評価対象となります。
しかし、トップチームになればなるほど、ポイントの比重が高くなるのも事実です。例えばWBCやプレミア12といった国際大会では、U15やU12に比べ6倍ものポイントが加算されることになります。優勝国には300ポイントが付与されるように、ポイントも圧倒的に大きいため、代表チームの国際大会は世界ランキングにとって非常に重要な存在であると言えるでしょう。
上位12カ国はプレミア12の出場権を獲得
世界ランキングのトップ12にランクインしていると、自動的に「プレミア12」の出場権を得ることができます。これは2015年から4年に1回開催されている国際大会で、2019年大会で日本が優勝したことは記憶に新しいのではないでしょうか?
WBCは本大会がアメリカで行われるのに対し、プレミア12は日本などのアジア諸国で開催されるのが基本です。過去2大会の決勝はいずれも東京ドームで開催されており、気軽に観戦に出かけられるのは日本の野球ファンにとって大きな魅力と言えるでしょう。

野球の主要国際大会における優勝国一覧
最新版のランキングで2位以下を大きく引き離して1位に輝いた日本ですが、これには2019年に行われたプレミア12での優勝が大きく関係していると言えます。そこでここでは、ランキングに大きな影響を与える国際主要大会の成績をおさらいしておきましょう。
WBC
開催 | 開催年 | 優勝国 | 準優勝 | ベスト4 |
第1回 | 2006年 | 日本 | キューバ | 韓国、ドミニカ |
第2回 | 2009年 | 日本 | 韓国 | アメリカ、ベネズエラ |
第3回 | 2013年 | ドミニカ | プエルトリコ | 日本、オランダ |
第4回 | 2017年 | アメリカ | プエルトリコ | 日本、オランダ |
2006年から開催されているWBCにおいて、日本は4大会中2度の優勝を果たしています。特に2009年の韓国との決勝戦は、今でも多くの野球ファンの心に焼きついているのではないでしょうか。
第1回と第2回を連覇した日本ですが、第3回と第4回はいずれもベスト4という成績に終わっています。宿命のライバル韓国だけでなく、近年は台湾も力を付けているので、次回以降はアジア予選からも気の抜けない戦いが続くことでしょう。
プレミア12
開催 | 開催年 | 優勝国 | 準優勝 | 3位 | 4位 |
第1回 | 2015年 | 韓国 | アメリカ | 日本 | メキシコ |
第2回 | 2019年 | 日本 | 韓国 | メキシコ | アメリカ |
2015年の第1回大会では3位という成績に終わった侍ジャパン。しかし2019年に行われた第2回大会では稲葉監督のもとにチームが一つになり、見事世界の頂点に輝きました。
WBCが2023年に延期されることになれば、プレミア12の開催は無くなってしまう可能性も考えられますが、次回以降は参加国を20国に増やそうという動きも見られます。「プレミア20」として大会が生まれ変われば、これまで以上に大会の規模や盛り上がりも大きくなることでしょう。
オリンピック
開催年 | 開催地 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
1984年 | ロサンゼルス | 日本 | アメリカ | 台湾 |
1988年 | ソウル | アメリカ | 日本 | プエルトリコ |
1992年 | バルセロナ | キューバ | 台湾 | 日本 |
1996年 | アトランタ | キューバ | 日本 | アメリカ |
2000年 | シドニー | アメリカ | キューバ | 韓国 |
2004年 | アテネ | キューバ | オーストラリア | 日本 |
2008年 | 北京 | 韓国 | キューバ | アメリカ |
2021年 | 東京 | 日本 | アメリカ | ドミニカ共和国 |
2021年注目の東京オリンピックは日本が優勝しましたが、それまでは1984年のロサンゼルス大会を最後に金メダルから遠のいていました。2012年のロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会では野球自体が大会競技から除外されましたが、東京大会では久しぶりにオリンピック競技として野球が復活。その記念となる大会で日本が優勝できたのは嬉しいですね。ただし、オリンピックは世界野球ソフトボール連名(WBSC)の主催ではないため、オリンピックの結果が野球の世界ランキングに影響することは基本的にありません。
女子野球・ソフトボールの世界ランキングでも日本は上位に
「世界野球ソフトボール連名(WBSC)」が定めているランキングは、男子野球だけに留まりません。なかなか注目を浴びることは多くありませんが、女子野球や男女ソフトボールにおいても、日本はトップクラスにランクインしています。
順位 | 男子野球 | 女子野球 | 男子ソフトボール | 女子ソフトボール |
1位 | 日本 | 日本 | アルゼンチン | アメリカ |
2位 | 中華台湾 | 中華台湾 | カナダ | 日本 |
3位 | アメリカ | カナダ | 日本 | 中華台湾 |
4位 | 韓国 | アメリカ | オーストラリア | カナダ |
5位 | メキシコ | ベネズエラ | アメリカ | プエルトリコ |
女子ソフトボールでこそアメリカに次いで2位、男子ソフトボールは3位という結果ですが、2部門で日本は世界ランキング1位を獲得しています。名実ともに野球大国と言える結果となりました。WBCの過去2大会においては日本は2大会連続のベスト4と残念な結果が続いているので、現在開催中のWBC2023で優勝を期待し1位の座を守ってもらいたいですね。